山本こどもクリニック

【山本こどもクリニック】浜松市東区の小児科,アレルギー科,呼吸器科

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話題の予防接種

インフルエンザ菌b型ワクチンについて(平成18年12月記、平成23年8月追記)

 予防接種後進国の日本でも、インフルエンザ菌b型ワクチンが平成20年認可されました。先進国でこのワクチンが未認可なのは日本だけでした。平成23年から浜松市でも5歳以下は無料になりました。肺炎球菌ワクチンも5歳以下無料になりました。日本は、1990年代は世界でも予防接種の進んだ国でしたが、その後、他の国が積極的に予防接種の種類を増やしていくのに、日本は停滞していました。今後ロタウィルスワクチンも導入される予定です。
 Hibワクチンが予防するインフルエンザ菌b型(Hib)について、解説します。 インフルエンザ菌は、こどもの細菌性(化膿性)髄膜炎の起炎菌の第1位です。髄膜炎とは、菌が脳の膜に感染して、高熱が出、頭痛、吐いて、けいれんする病気です。ウィルス性と細菌性があり、ウィルス性はほとんど後遺症なく治ります。一方、細菌性髄膜炎は、脳が膿んでしまうので化膿性髄膜炎とも呼ばれ10~20人に1人は死亡し、麻痺や難聴を残すこともよくある、こどもの感染症の中で最も恐ろしいものです。早期発見早期治療をいくら頑張っても、死亡や後遺症をなくすことは出来ず、あっというまに悪化することがあり、予防が世界の主流になっています。
 インフルエンザ菌は1892年PfeifferRが当時流行していたインフルエンザの原因と考えて発表しました。実際には、1933年にインフルエンザウィルスが発見され、インフルエンザ菌は原因ではないことが分かったのですが名前にはインフルエンザが残ることになりました。驚いたことに日本でも早くも1901年(明治34年)には生後6ヵ月の化膿性髄膜炎の男子剖検例が報告されています。この時代にすでにインフルエンザ菌が同定できたというのは日本の医学レベルが高かったことを示すものでしょう。
 戦前の調査(昭和3~10年、昭和9~18年)でもインフルエンザ菌は小児の細菌性(化膿性)髄膜炎の3大起炎菌(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌)の1つとして知られていました。抗生剤のなかった当時では肺炎や膿胸に引き続いて化膿性髄膜炎となることが多く、診断された全例が死亡しています。抗生剤が開発されて、インフルエンザ菌の治療が出来るようになりました。全例死亡という悲惨さはなくなった現在の医療でも10~20人に1人(2.6~6.7%)は死亡する病気です。化膿性髄膜炎の起炎菌の1/3はインフルエンザ菌で第1位です。化膿性髄膜炎は、適切な抗生剤治療をいくら早くおこなっても死亡や後遺症の発生をなくすことはできません。また、抗生剤はやがて効かなくなって新薬を次々と開発していかねばならないという宿命がありますが、最近は子どもに使える新薬の抗生物質の開発が難しくなっています。いづれ、抗生剤のなかった戦前と同じ状況になるかもしれません。
 ところで、インフルエンザ菌には莢膜型と無莢膜型があって、莢膜型にはa、b、c、d、e、fの6つの血清型があり、無莢膜型とあわせて全部で7つに分けられます。b型が最も病原性が強く、髄膜炎の起炎菌もほとんどがb型です。ワクチンはこのb型にだけ効果があります。
 アメリカでは生後18ヶ月以上の小児の重症感染症の30%はインフルエンザ桿菌によるものだとして、1987年にインフルエンザ桿菌タイプbのワクチン(conjugate vaccine)がFDAに認可され18ヶ月以上のすべてのこどもにワクチン接種するように勧告さました。現在は、生後2、4、6ヶ月児に接種し、その12~15ヶ月後に追加接種することになっています。このワクチン接種後にアメリカではインフルエンザ桿菌髄膜炎は激減しています。他国でもインフルエンザ桿菌タイプbワクチンが導入され、先進国のなかでは今までは日本が唯一認可されていない国でした。浜松市医師会は、無料化接種を要望する署名運動を平成22年6月に浜松市医師会が行いました。平成23年から国が半額補助をして浜松市は無料化されています。
 
 上原すゞ子 :インフルエンザ菌感染症のこれ迄の推移。小児科臨床。51:873-883,1998
 上原すゞ子:欧米におけるインフルエンザ菌b型(Hib)感染症の激減とHibワクチン。日児誌100:1693-1696,1996
 HaemophilusinfluenzaeTypebconjugateVaccine.Pediatrics81:908-911,1988
 木村三生夫:世界各国の予防接種。日本医師会雑誌111:1499-1503,1994
 中村明:インフルエンザ菌。臨床と微生物。15:39-42,1988

 

日本脳炎の予防接種をしましょう。(平成23年6月)

 厚生労働省は平成22年4月、日本脳炎ワクチンを積極的に接種しましょうと方針転換しました。平成23年5月からは今まで打ち漏らしたからも打てるように、9歳までに3回うててない人、20歳までに4回が打ててない人はその回数まで無料なりました。9歳までで3回打った人は、9歳以後にもう1回打って全部で4回打ちます。
 旧型の日本脳炎ワクチンは、ワクチンを接種後にADEMという脳の病気の重症型となった中学生があったため、平成17年5月に「改良ワクチンがでるまで、積極的には勧めず希望者のみとし、中学生は中止」になりました。改良ワクチンは、平成21年に認可されました。
 日本脳炎は、成人では、発病した人の1/3は死亡し、1/3は助かっても脳障害を残します。こどもは、死亡率も脳障害も成人より多いとされています。日本脳炎は、中国、東南アジア、インド大陸などのアジアモンスーン地域で年間数万人をこえて流行しています。インド北部では平成17年7月からわずか2ヶ月で1000人近い死者をだしました。
 日本では、昭和41年の日本脳炎患者数2,017人をピークに昭和42年から積極的に日本脳炎ワクチンを進め、患者数は減少し、平成4年以降の発生数は毎年10人以下です。平成17年に発症した5例のうち1例は静岡の32歳の方です。平成18年9月に、熊本のワクチン未接種の3歳児が日本脳炎を発病ました。命は助かったものの脳障害が残りました。平成21年は熊本で7歳児と高知で1歳児の日本脳炎発症が報告されています。静岡では豚の80%以上に日本脳炎ウィルスが保有されています。日本脳炎は九州、四国の病気と思われがちですが、静岡も危険地域です。日本脳炎ワクチンを打ちましょう。

旧型の日本脳炎ワクチン後に発生するADEM(急性散在性脳脊髄炎)は、ワクチン接種の70万~200万回に1回発生すると考えられていました。ADEMは、ワクチンとは関係なく、はしか、みずぼうそう、おたふくかぜ、インフルエンザなどの感染の後にもみられ、毎年15歳以下の100万人に対し2~3人は発症しています。ワクチンの後に起こったADEMの原因がワクチンかどうかも本当は不明です。 

 インターネット「日本脳炎発生状況」で検索してください。

豚の日本脳炎ウィルス保有率 静岡も危険地帯。
http://www.pref.toyama.jp/branches/1279/kansen/nichinou/nichino-4.htm

 

おたふくかぜの難聴を防ぐためにワクチン接種しましょう(平成18年7月)

FMハロー おはようクリニックで平成18年7月31日に放送したものです。下記のサイトで音声を聞くことが出来ます。
http://www.hamamatsu-ishikai.com/fm_hello/fm_hello.html#

Q おたふくかぜはどんな病気ですか

 突然、耳の下がはれて、お多福のようにしもぶくれになり押すと痛みます。片方がはれ2、3日してもう片方が腫れる人が多く、片方だけ腫れる人もいます。半数くらいに熱がでます。正式は流行性耳下腺炎またはムンプスといいます。3日間くらいで腫れは最大になり、10日間くらいで治ります。浜松市ではおよそ3年ごとに流行をくりかえしています。
 くしゃみなどで飛んだ唾液を通じて感染します。感染してから発症するまでは2、3週です。
腫れる1週間前から、はれた後10日間は人に感染させます。3割は症状がでません。

Q おたふくかぜの診断はどんなふうにするのでしょうか

 耳下腺がはれているかどうかで診断します。あごに手をそえると、ふつうは耳まで顎の骨がたどれます。耳下腺がはれると、たどれなくなります。ただし、耳下腺でなく顎下腺だけが腫れることもあります。おたふくかぜでなく、EBウイルスなどのウイルスや細菌の感染症でも腫れることがあります。片方の耳下腺のはれをくりかえす、反復性耳下腺炎もあり、この原因はよくわかってはいません。

Q おたふくかぜでは、どんなことが問題ですか

 おたふくかぜのもっとも重要な合併症は難聴です。耳下腺が腫れて数日して突然耳が聞こえなくなります。おたふくかぜの、数百人に1人の割合で難聴がおこり、治療してもよくなることが少なく、一生なおりません。多くは片耳だけですが、両耳の場合もあります。突然耳が聞こえなくなる突発性難聴という病気でも、20人に1人は実は耳下腺の腫れなかったおたふく風邪だと言われています。

Q 難聴以外におたふくかぜの合併症はありますか

 重症ではないですが、約30人に1人くらいにおたふく風邪の髄膜炎、ムンプス髄膜炎を合併します。髄膜炎とは、髄膜という脳を包んでいる膜に炎症がおきて、発熱が続き、頭痛、吐くといった症状がおこるものです。おたふくかぜでは、死亡したり後遺症を残すことはほとんどありません。ただし、時には入院が必要なこともあります。

Q 大人がおたふく風邪にかかるといけないといわれますが

 思春期以後の男性は、おたふくかぜにかかると、睾丸がはれてすごく痛むことがあります。不妊症の心配はほとんどありません。女性は妊娠中におたふくかぜにかかっても、先天性奇形とは関係ないとされています。しかし、妊娠初期の場合には、流産の確率が高まります。

Q おたふくかぜの治療法や予防法はありますか

 おたふくかぜ自体に特別な治療法はありません。口をあける時や噛む時に痛いので噛まなくてもいいものを食べるようにすることや、痛み止めや解熱剤をつかうくらいです。
 おたふくかぜにかからないことがもっとも大切で、予防接種を勧めます。
おたふくかぜの予防接種は任意接種で有料です。日本以外のほとんどの先進国ではおたふくかぜワクチンは定期接種になっています。

Q 予防接種の効果や副反応はどうですか?

 予防接種をしていても、おたふくかぜにかかる人が30人に1人くらいあるといわれます。
まれにワクチン接種後に髄膜炎が起こることがあります。しかし、実際におたふくかぜにかかるよりは軽く済みます。