山本こどもクリニック

【山本こどもクリニック】浜松市東区の小児科,アレルギー科,呼吸器科

〒431-3125 静岡県浜松市東区半田山4-41-5
TEL 電話予約専用:053-431-6877
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子育てのヒント 乳児健診で分かること

4か月健診で整形外科へ行ってくださいねと言われました。
先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全:DDH)の話


1970年以前の日本は股関節脱臼が100人に1人以上いました。
以前は「先天性股関節脱臼LCC」と言いましたが、現在は「発育性股関節形成不全DDH」と呼び方が変わりました。生まれる前(先天性)より生まれた後(発育性)に脱臼してくる人が多いことが分かったからです。
実際に、足を動かしやすくするおむつの当て方などの予防運動が普及すると、10分の1にへりました。ただし今でも千人に1人はあります。
「股関節脱臼」は、4か月健診で発見されれば、外来でできる装具(リーメンビューゲル)を3,4か月つければ済みますが、遅れて発見されると1か月くらいの入院治療や手術が必要になります。早期発見が大切ですね。

最近は股関節脱臼よりも軽度の異常の臼蓋形成不全が、成人になってからの変形性股関節症(人工関節が必要なこともある病気です)の原因の一つかもしれないと考えられて、4か月健診でこうした軽度の異常もチェックするようになりました。
この「臼蓋形成不全」とは、股関節のうち大腿骨頭を支える屋根の部分(臼蓋)の発育が悪く、股関節に負担がかかりやすい状態です。
「股関節脱臼」と「臼蓋形成不全」をひとまとめにして「発達性股関節形成不全DDH」というようになったのです。

診断は、診察だけでは難しいので、診察時の異常所見がなくても問診票にあるリスク(女児、家族歴、逆子、太もものしわの左右差)のある人も小児整形外科の専門医へ紹介して超音波検査やレントゲン検査を受けてもらっています。
「臼蓋形成不全」は、当院の4か月健診の女児のうち14人に1人いました(2014年9月~2017年4月)。
こうした人の、ほとんどは専門家の指導だけで治るようですが、5歳ころまでに治っていないと手術を必要とすることもあります。
参考:小児整形外科学会HP 乳児股関節脱臼
2017年10月 山本こどもクリニック 山本崇晴


 

うちの子、おちんちんが小さいですか?ミクロペニスの話


陰茎の付け根から皮を含まない先端までの長さを測ります。
生まれたとき2.5cm、1歳で3cm、思春期前に3.5cmより小さいと陰茎が小さく「ミクロペニス」と呼ばれます。
ほとんどの場合、原因は不明で、まれにはホルモンの異常のことがあります。
皮膚や周囲の組織に埋もれて、見かけ上陰茎が小さいときは「埋没陰茎」と呼びます。
陰茎が小さくても問題はありませんが、ミクロペニスや重度の埋没陰茎の場合は、
自分を男の子と自覚していくことが難しくなる可能性があります。
立っておしっこをすることが難しいと他の男子との違いが目立って悩むこともあります。
ミクロペニスの方は、まれとはいえホルモンの異常を見逃さないために、小児内分泌の専門家に紹介しています。
治療は簡単で、男性ホルモンを注射すると、ほとんどの人で伸ばすことができます。
治療の必要なミクロペニスの子の割合は、当院の4か月健診(2014年9月~2017年4月)では男児の22人に1人でした。
(参考:チャイルドヘルス2013年1月号16~18頁)
2017年10月 山本こどもクリニック 山本崇晴
 

3歳児健診でメガネの必要な子は40人に1人(2.5%)

 強い遠視や乱視などで、子供の視力の発達が妨げられていることを弱視といいます。ピントの合っていない世界を見ていた目は、脳がぼんやりした状態に慣れてしまいます。小児のうちにめがねをかけて訓練すれば、改善しますが、歳とともに訓練の効果が落ち、8~10歳をすぎるとめがねをかけて訓練しても脳がはっきり見てくれなくなり、視力が改善しません。9歳未満の弱視治療用メガネは保険がきき、平成18年から購入費の7割が支払われています。小学校入学前に発見して治療することが大切といわれ、現在のシステムでは3歳児健診で発見することが重要です。

 浜松市は3歳児健診は個別です。過去6年間の当院の3歳児健診の視力異常の結果を報告しました。

 3歳児健診では、事前に郵送された視力検査キットを用いて保護者が視力0.5未満を報告し異常のある人を検査するシステムになっています。しかし、「やり方が分からない」や、「やったけれどよく分からない」という声もよく聞かれます。そこで当院では、3歳児健診の全員に、視力検査表を使って測定しました。両眼と片眼の視力の、いずれかが0.5未満か、その他の眼科異常または視力測定ができなかった場合は眼科へ紹介しました。
 平成20年から25年の6年間に3歳児健診は395名。すでにメガネをかけている子が3名あり、視力検査で眼科へ紹介した69名を併せて72名(18%)がチェックされました。眼科では6名が正常、4名は紹介した眼科を受診されませんでした。新たに弱視としてメガネが必要とされたのは7名で、すでにかけていた3名とあわせると10名(2.5%)。内訳は両混合乱視2名、両遠視性乱視1名、遠視または遠視性乱視による不同弱視6名、詳細不明1名でした。その他のメガネの必要のない軽度の異常は52名。その内訳は遠視7名、近視5名、乱視は38名(乱視5名、遠視性乱視12名、近視性乱視4名、混合乱視17名)偽内斜視1名、下斜筋過動1名でした。
 文献的には弱視の頻度または健診での異常の頻度はどれくらいでしょうか。英文誌の総説では弱視の頻度は1.6~3.6%でした(*1)。滋賀県での健診では1.4%(*2)。静岡市の年中での弱視治療開始は1.3%(*3)。当院のデータは妥当なものと思われました。当院での方法の問題点は視力検査に時間と労力がかかること、子どもによっては検査不能があることです。
アメリカでは、視力検査表による検査を基本とするものの、視力検査表での検査の難しい6ヶ月から3歳ではフォトスクリー二ングと携帯型オートレフラクトメーターを勧めています(*4)。日本でも3歳児健診にオートレフラクトメーターによる眼科検査をしている自治体もあます。(*5)。(*6)。携帯型のオートレフラクトメーターは高価でクリニックで買うのは躊躇します。視力検査については、集団検診か眼科検診を別にするのがよいかもしれません。(2014年)

文献
(*1)Kurt Simons:Amblyopia characterization, treatment, and prophylaxis. Surv Ophthalmol.2005;50(2):123-166
(*2)パンフレット三歳児健診で弱視の早期発見を。日本小児眼科学会監修。千寿製薬
(*3)静岡市さくら眼科HPより
(*4)Instrument-based Pediatric vision screening policy statement. Pediatrics 2012;130(5):983ー986
(*5)「明石の健康福祉」第11章の97~98頁、インターネットより
(*6)「オートレフラクトメーター導入後の3歳児健診における視覚検査の結果について」インターネットより

 

3歳前後からのこどもの心の成長

  山本こどもクリニック  山本崇晴
 健全に成長した子供では、1歳をすぎる頃から、個人を主張するようになります。
第一反抗期とも呼ばれます。
“イヤ”を連発しだし、自分のしたいことを押し通しそうとします。しかられても、食卓によじのぼり、用意された皿をわってしまったりする。エネルギーの塊のように動き回り、かんしゃくをおこすので、西洋ではこの時期のことを、小悪魔時代と呼ぶそうです。
2歳をすぎるころから言葉を使うのが上手になるとともに、悪い言葉もすばやく覚えるので親を心配させることにもなりやすくなります。
事故やけがもしやすくなるので、そうしたことを防ぐように教えなければなりません。
そうした制限や決まりを教えるのをしつけといいます。
ここで、「しかる」のは「その子のことを思いやって注意すること」、そして「おこる」のは「自分の怒りの感情をぶつけること」と区別しましょう。また、なぐったり手をあげるのは、しつけとしてはうまくいかないことがわかっています。

 3歳頃から6歳頃には生活に必要な言葉をほとんど覚えます。
好奇心が旺盛になるので、質問が多くなります。目覚めている間中おしゃべりをしている時代ともいえます。
性別役割にも敏感になり、男の子だから強いんだとか、女の子だからきれいなのなどといったりします。
西欧では、この時期を小紳士小淑女の時代と呼んでいます。
もっとも、他人に対しては紳士淑女でも、親にたいしては反抗期のままのことが多いので、自分の子より他人の子の方がしっかりしてみえるかもしれません。
自分の感覚や行動に対して恥や劣等感を抱きはじめるときなので、軽口や冗談でこどものこころに傷を与えないように心掛けましょう。

 ところで、反抗期では自分の倍ほども身長の高い親に反抗するわけです。自分の倍ほどの身長の人で自分の衣食住を握っている人に反抗することを考えてみてください。ふつうでは恐くてできないですよね。
それができるのは、よほどその人に対する信頼があるからです。
健全に成長した子供では、親に対する信頼がしっかり築かれているので、反抗期ができるわけです。


 文献;Evans,R.I.:エリクソンは語るーアイデンティティの心理学。岡堂哲雄・中園正身訳。新曜社1971
   小児ケアのための発達臨床心理。岡堂哲雄監修。へるす出版。1983